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自己評価申告書の緩さ

この季節になると恒例の大学業務の自己評価申告書というのを書く。事細かに自分のやったことを書いて規定の点数を入れていく。そうすると簡単に合計点が出てそのエクセルシートがあなたの価値になる。民間企業ならこの自己申告書をもとに上司とコミュニケーションして「おまえはそう言うけれど認めない」とか「なかなか良くやった」とか査定されていくのだろうが、大学では(おそらくどこの大学でも)そういうフィードバックは行われない。そうなってしまうのには二つの理由がある。一つは大学と言う場所が近年ますます組織的なヒエラルキーを排除したことにある。つまり誰かが誰かの上にたって下の人間を評価するという仕組みが消滅しつつあるからだ。次によしんば上下関係が残存している場所でも、学問の専門化は他人の領域をブラックボックス化させている。つまり人の仕事の内容について量を超えて質を評価することは難しくなりつつある。こうなると評価の基準は客観性を唯一保てる数が頼りとなる。論文何本書いたか?学会の役職をいくつやったか?学内の委員をいくつこなしたか?企業の研究費をいくらもらったか?ということがその人の価値とならざるを得ない。大学と言うところに来た時そのことには少々驚いたが、気楽なものだとも思った。企業の営業棒グラフみたいなものでノルマをこなせ契約取ってこい!!というのに近い。とは言え研究って数値だけに還元できないだろうからこんな状態だとちょっと危ないよなあとも感じるのである。

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