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様式の意義

午前中大学院の入試面接。午後博士論文の公聴会。4名の発表。構造2名、設備1名、歴史1名。その後会議が二つあって終わると夕方。アルゼンチンのロベルトを招聘する委嘱状の申請書類を作る。夕食後、椹木さんの本を読み終えてネルソン・グッドマン(Goodman ,N)『世界制作の方法』ちくま学芸文庫(1978)2008を読み始める。第二章「様式の地位」では様式とは何かを問う。様式は作品を同定するのに便利な指標である。そしてもちろん作品を同定、弁別することは作品理解を深める上で重要である。とは言え自明な様式は見る側、聞く側を育てない。極めて微かな様式の存在や差異が受容者の知覚する能力を高め、作品理解の範囲を拡大する。そして受容者がこうした洞察を重ねることで作品のエッセンス発見能力を高めると著者は言う。このことを創作論的に言えば、あからさまな様式を羅列する作者には受容者の発見能力を喚起する力が無い。僅かな様式のヒントを作品に見え隠れさせることが受容者の理解を広げ、ひいては新たな世界を提示する。と言い換えられるようにも思う。著者はそうした作者としてハイドンやホルバインを挙げていた。その逆は誰だろうか?モーツァルト?モネ?建築ならハイドンに相当するのは誰だろうか?微かな表徴を散りばめること。これは言ってみればメタレベルのコンシステンシーの実践である。そう言う建築家とは?そしてそれを実践するとは?

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