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乱読の勧め

午前中学科会議。終わったら昼。午後は院の講義。講義後施主へ送る資料作り。学内委員の雑用を終わらせてからゼミ輪読へ。今日は坂本さんと多木さんの対談『対話建築の思考』。21日のレクチャー前に少し予習をさせておいた。続いてhouse saを素材とした1時間設計。House saの空間の内外の連続性と平坦性を維持したまま螺旋ではない形式を挿入せよというのがお題。これを1時間でやるのは至難の技としりつつやらせてみる。案の定かなりひどい出来だった。まあたまには頭を使わないと。夕食後八潮の公園設計打合せ。出てくる考え方がなんとも凡庸。ランドスケープというとそれだけでもうお手上げという感じである。いくつかのアイデアを与えて来週まで6案作るよう指示。終ってから昨晩読みかけの加藤周一『読書術』岩波文庫(1962)2000を読む。先ず、乱読の弊はない、乱読は人生、乱読は我が楽しみと始まる。わが身を振り返りホッとする。速読術という章がある。同時に数冊、一日一冊読んでいた時期があったと言う。もちろん内容を全部汲み取るなどおよそ不可能。でも数時間マルクスに接したことになるし、数時間親鸞に触れられたことになる。それはそれで素晴らしい。なるほどそうかもしれない、先日の我が家を思い出す。
ある夜帰ると居間のテーブルの上に小沼純一、菊池成孔(きくちなるよし)、レヴィストロース、橋爪大三郎らの本がどーんと山積み。そのそばに菊池成孔のcdが置かれそれを開くと、おっと菊池のサインがあるsakaushiさんへとも書いてある。「どしたのこれ?すげぇー」と菊池ファンの僕は思わず驚く。かみさんが菊池と小沼の対談をどこかで聞いてきて余りに面白いので僕の本棚から二人の本を全部抜きとってテーブルの上に置いたという。因みに菊池が友人の大谷能生とタッグを組んで慶応で行った講義録は『アフロディズニー』というタイトルで売られている。彼の文才は驚くべきものがある。まるで音楽のような文章だ。「それでレヴィストロースは?」と聞くと今度は橋爪の講演会で構造主義を聞くと言う。一体この人どうしちゃったの?この脈絡のない知識欲。でもこれぞ乱読と同じかもしれない。そしてその本をとにかく読もうというこの姿勢は結構すごい。分からなくとも構わないし全部読む必要も無い。『悲しき熱帯』なんてこの大部の書を僕はまだ目次しか目を通していない。それを読もうと言う根性がすごい。まあ読むかどうか分からないけれど出して眺めているだけでもいいではないか。レヴィストロースにお近づきになっている。と加藤氏なら言うのかもしれない。
話しを加藤氏の本に戻す。分からない本は何故分からないかと言う加藤氏の分析が明晰である。先ず西洋哲学の類。これは往々にして訳が悪すぎる。そいうものは読むのを止めるか原文を読めと言う。これは正しい。哲学ではないが、ヴィドラーとかウィグリーなどの哲学的建築論は確実に原著の方が時間はかかっても分かる(とスチュワートさんにも言われた。というかそう言われたのでやってみたら正しかった)。悪訳は時間をかけても絶対分からない。なぜならそれは原文とは違うことが書いてあるから。次に加藤氏があげる二種類の本がある。一つは科学や数学。これは言葉の定義を知らないと読めない。しかしそれが分かれば誰でも理解できるようにできている。(そうは言ってもそれを分かるのが面倒なのだ)もう一つは小林秀雄のような美術評論。これは同様の体験をしていないと分からない。その通りだと思う。小林秀雄のモーツァルトは音楽好きにはすーっと読め、文芸に親しんだ小林ファンには分からなかったそうだ。
加藤氏の文章は実に明晰。こう言う文章を読むと頭が洗われたような気持ちになると同時に我が悪文を恥じる。

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