ファッションと建築
早稲田で開講している「建築の条件」という演習の主旨は次のようなもの。「第一に建築に関わる文化事象を階級、ジェンダー、セクシュアリティ、人種、国家などのアイデンティティについての問いとしてとらえる視点を導入する。第二に建築をめぐる言説を身体、雑誌、写真、消費空間などメディアも含めた多様な建築文化として再構成する。第三に学際的なアプローチをとりいれる。例えば表象の問題は記号論、映画や雑誌などのメディア研究を参考にし、消費の問題は社会学や歴史学の方法論から多くを学ぶ」。
以上の文章は成実弘至さんが「問題としてのファッション」(『問いかけるファッション』せりか書房2001所収)の中で書かれた文章の「ファッション」を「建築」と置き換えて、若干修正したものである。
一昨年文化構想学部が出来、講義を頼まれた時、成実さんの上記の本を読み、こんな風に建築を考えてみたいと思ったのである。そこで当時の信大修士一年生といっしょに講義ノート作りゼミを始めた。その時のゼミの出発点が上記文章だった。