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修論発表会

この四日間信大の一番大きな会議室で合同会社説明会が行われている。順番で回ってきた就職委員として今日の午前中の挨拶など行う。数十社集まっていたが8割は東京の会社である。日本経済を象徴している。こういう日に限って電話が数回鳴る。電話なんて昨今かける時しか使わない。だいたい仕事の話は事務所にかかる。僕あてならメールが大半。だから電話の用件は緊急を要すること。そして緊急と言う場合だいたい、いいことか悪いことのどっちか。今日の場合一つは悪く、一つは良いことだった。あーあー。なんか悪いことの方が勝っていて憂鬱である。午後は修士論文の発表会。悪いことは続く。僕の研究室の学生による「建築家の言説における形容詞の研究」という論文がとある先生によって血祭りにされた。曰く「どこが工学的な論文なのか?文学部の論文である。形容詞の数を数えているだけではないか?建築とどんな関係があるのか?」などなど。この先生は相手を徹底して追い詰めていく。この言葉を聞いていてふと、昔東工大のとある先生が言っていたことを思い出した。言説研究で有名なこの研究室の学生論文の発表会後、判定会議で当時まだ在職していた某先生が徹底して批判したそうだ、曰く「そんな論文は設計の何の役にも立たない」。この時は言われた先生が切れて、これまた別のある先生が仲裁にはいったとか。まあ役に立つか立たないかはその建築家次第であり、この批判はあたらない。戻って工学的な論文かどうかを審査の基準とする意味は薄い。そもそも昨今工学とは何かは再定義されるべきだろうし、文学部的で悪いと言う理由はましてない。まあそこまで言われると『言葉と建築』なんて言う本を訳している僕としては立つ瀬がない。ただも少しこういう研究の意味や意義はよく伝えないとエンジニア系の先生には分からないだろうと少し反省。判定会議でそのあたりを説明したら「そんなもんですかねえ」とにこにこしていた。やはり日本の建築は以前エンジニアリング強しというところだろうか。

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