脳か精神か?
今日の上海は快晴。7時にホテルを出て8時半に空港へ。9時55分のCAに乗る。CAは行きも帰りも常に満席。機中、杉山登志郎『発達障害の子どもたち』講談社現代新書2007を読む。これまで何冊か読んできた子どもの本の著者は文系だった。つまり心理学や社会福祉が専門。一方この本の著者は医学系である。誰かの本に書いてあったし大学の同僚先生も教えてくれたことだが、こども問題は文学部(心理学科)、教育学部、医学部で研究されている。そしてその横のつながりはさほど密接ではない。つまりはそれぞれの分野がそれぞれの考えを作り上げているようなのである。
医学系の著者によるこの本を読むと発達障害というテーマで受精つまりは先天性の問題も話題となっている。これは今までの本ではあまり見られない(あるいは研究しようもない)。また知能指数が障害分類に幾度も登場するのは医学だからなのだろうか??さらに医学においても精神と脳では違うのかもしれない。因みにこの本の著者は精神である。
成田に着いて事務所に向かうまで週刊誌を買って読んでいたら、精神科医の斎藤環が脳科学の茂木健一郎に送った書簡に返信が来ないことをぼやいていた。斎藤いわく「脳の機能によって人間の社会的行動を説明できるというのは現時点では『トンデモ脳科学』だと私は考える」と書いている。ここでの分野の対立は人間の行動全般だが、こどもの行動ももちろん含まれるだろう。脳か精神か?医学か心理学か?理論か臨床か?専門家たちにもこうした対立があり定説が成立しにくいとなれば、門外漢の我々にはそうやすやすとこの複雑な関係の上にのっかている知見を理解するのは難しい。
事務所に戻りチルドレンセンターの打ち合わせ、1/300のブロックスケッチをもとに議論。まるっきり別案を考えるか、同じ案で形体や構造の代替を考えるか、スケールアップして詳細を詰めるか考える。今後の展開のために先ずはスケールアップを一度しておくことにする。今日はbirthdayそそくさと帰る。