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4月1日。世の中では入社式が行われる。大学では辞令式が行われる。学長から辞令をもらったばかりの新学部長から辞令をいただく。
長野に来る車中茂木健一郎『化粧する脳』集英社新書2009を読む。著者がカネボウと化粧品研究をしたことが下敷きになっている。その中に面白い調査結果があった。すっぴんの場合、鏡に映る自分(鏡像)と本当の自分(正像)ではどちらが「自分らしい」と感じるかという問いに「鏡像」という答えが多かった。一方化粧を施すと答えが反転し、正像と言う答えが返ってくるとのこと。つまり化粧を施した顔と言うものはそもそも自分が見るものではなく人に見られることを前提としているというわけである。つまり化粧とは一種のコミュニケーションツールであり、ファッションやもっと言えば建築と同様な役割を持っているわけだ。
辞令式の後、研究室でかづきれいこ『かづきれいこのいきいきメイク』ちくま文庫2002を読む。著者とは直接お話したことはないのだが昨年度まで早稲田大学で担当していた「晒す覆うの構造学」という授業を共同で教えていた先生の一人。ついでに著者のメークサロンは我が家の目と鼻の先にある。もともとけがをした人などのフェイシャルセラピストとして有名な方である。彼女がメイクを始めたきっかけは自身がASD(心房中隔欠損症)という病気のため顔色が悪く性格まで寒々しかったからだと言う。つまりは性格を明るくするための化粧である。そして今や全国に生徒が数万にいるという。なるほど人の心とは実に様々な要因で変化する。化粧もその一つであることは間違いない。表層の覆いと内面の覆いは他者を軸にして常に微妙な緊張関係の上にある。

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