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プリミティヴィズム

昨晩は学生たちと3時ころまでよくしゃべった。寝不足のせいか新幹線の中では買った週刊誌を少し読んで眠りに落ちる。東京駅丸善で葛飾北斎の本を2冊買って事務所へ。スタッフも北斎をだいぶ調べ上げてくれていた。有名な波の絵の色は化学顔料でくすんだ藍色だとか。しかし、色を判別するのは至難の技。版画作品は下手をすると一品一品色の濃さが異なるし、本に印刷されれば、もう一回版画をしているようなものだからそこでも色は変わる。同じ作品が違う本では違う色で現れている。
夜帰宅すると注文していた本が届いている。ウィリアム・ルービン編『20世紀美術におけるプリミティヴィズム‘primitivism`』淡交社1984。本物を見るまで知らなかったのだが、この本はタイトルと同名の展覧会のカタログだった。展覧会は1984年にニューヨーク近代美術館で行われたものである。正式名称はPRIMITIVISM IN 20th CENTURY ART Affinity of the Tribal and the Modern である。文章を追う元気がないので2巻組の写真を追う。ゴーガン、マチス、フォービズム、ピカソ、レジェ、クレ―、ジャコメッティ、ダダ、シュルレアリスム、ヘンリームーア、抽象表現主義、アースワーク、皆プリミティヴィズム(北アメリカ、アフリカ、オセアニアの部族美術)の影響を受けているとこの本では説明する。ジャコメッティの鉛筆のような人間もアフリカにそのイメージがあるのには驚いた。ニュートラルなモダニズムの時代だからこそその対極が欲しくなる。人間とは本当にアンビバレントなるもの。つくづく感じる。

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