松本を見る
松本市内の女鳥羽湧水 石臼の下の方からこんこんと水が湧き出ている
早々に起きて朝の露天風呂につかり朝食をとる。食事は昨晩同様山菜尽くし。少々飽きた。田舎の旅館に泊ると朝から食欲旺盛になるものだが、今日はそれほどでもない。
旅館すぎもとは美ヶ原温泉では名の通った老舗。九州プロジェクトのクライアントは俵屋を見て来いというのだが、時間がなくて行けない。なるべくチャンスのある時にきちんとした日本旅館を味わっておきたいものだ。松本なら杉本かと??誰かに聞いた。旅館中に趣味人である主人の好みが現われている。先ずはオーディオ。マッキントッシュの真空管アンプにJBLのスピーカーそしてガスホースのような電線。こんなセットが玄関、食事室、読書室などに置かれ、いい音を流している。それから調度品の絵画に器などなど。脱衣室に何気なく棟方の版画がかかっている(レプリカ?)朝食後そんな主人と話をしていたら松本民芸館は近いので行くことを勧められた。大正時代に柳宗悦に共鳴した民芸同志が駒場を本拠地として全国に組織化された。その一人である松本の民芸店の主人丸山太郎氏が作った博物館である。創設は昭和37年。現在は木造2階建ての民家調の作りで館内には松本民芸家具をはじめ世界中の民芸品が展示されている。僕は正直言うと松本民芸家具の濃い色と中途半端な装飾性が苦手ではあるが、いつかふっと「好み」になったりするときもあるかもしれない。
昨日松本の建築家Yさんに「松本観光するんですけれど見るべきものはありますか?」と聞いたら井戸めぐりを勧められた。なるほど松本市内には10近くの湧水があり流れっぱなし。近所の人は自由にもらえるわけだ。そもそもこの水は酒造りに使われており、現在は飲食店の重要な資源になっているようだ。松本は水の町と言うとぴんと来ない感じだがさにあらず。小さな水の流れが散見される。
昼食後、市立博物館で松本の歴史を見る。いやこれはひどい。松本たるものもっとしっかりとした展示をしないと恥ずかしい。その後、実は初めて松本城をきちんと見る。この天守閣はツインタワーであることに気づく。そのプロポーションと建ち方はなんとも美しい。内部は寒くて寒くてその上疲労がたまり途中階まであがって降りてきた。そして美術館に行く。新春屏風展を見る。長野は書のメッカ。歴史に残る大書家の屏風が展示されていた。宮本忠長さんのこの美術館にも小川のせせらぎがある。これも湧水だろうか?夜の特急で長野に戻る。