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中学の担任

今年の夏に中学時代の担任の先生が亡くなられた。とても個性的で人気があったため、先生に担任された13年間4つのクラスがいっしょになって新宿三井倶楽部で偲ぶ会を催すこととなった。先生の名は中川浩一。その名は知る人ぞ知る地理教育学者であり、鉄道学者でもある。我々の担任を最後に母校を離れ茨木大学の教員となった。
本日の最若輩の代の幹事である私とかみさんは受付などやりながら定刻に会場に入って司会の挨拶を聞いていた。周りは大先輩。隣の人の名札に目をやるとあの岩井克人氏であった。父親が経済学者であるにもかかわらず、数学嫌いの私にはどうもこの学問は馴染めないものがあったが岩井氏の著書は数冊目を通したことがある。著書のみで知る有名人が同じ先生に教えを受けていたというのは嬉しいような不思議な感覚である。出席者すべての名を知る由もなし、きっと著書やテレビで知る人が他にも多数いるのだろう。
各学年から先生の思い出話を聞くにつけ、恩師の面白さや人間臭さを知ることとなるのだが、先生は地理の教師であると同時に鉄道オタクであった。僕が信大に来て、とある先生に僕の母校の名を告げた瞬間に鉄道マニアのその教授の口から中川浩一を知っているかと問われたくらいである。彼の授業は今でも覚えているが、ヨーロッパの鉄道時刻表を渡し、一か月の旅のスケジュールを作れというものであった。地図と時刻表が彼の教材だったように覚えている。
しかし博学の彼についてさらに驚いたのは帰宅後wikipediaで彼の名を引くと夏目漱石研究者と書いてあったことである。本日のスピーチでそんな言辞は一言もなかったと言うのに。
偉大な先生に若き日に教わったことに感謝するとともに心から師のご冥福をお祈りしたい。

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