90年代の始まり
午前中推薦入試。例年と同じくらいの受験者数だった。天気も良く特に問題もなく終了。午後はゼミ。途中で数回会議に顔を出す。試験官で神経を集中しその頭でゼミは少々つらい。夕食後作日から読み始めた接続詞の本を読む。なるほどと思うことしきり。本に飽きると研究室の本棚を眺める。その一角には恩師ディビッド・スチュワートがこの春退官した時に送ってくれた洋書が詰まっている。そこから特に意味もなく一冊引っこ抜いて眺める。‘COLUMBIA DOCUMENTS OF ARCHITECTURE AND THEORY`VOL1を手に取る。このシリーズの創刊号で1992年出版。目次は巻頭論文がジャックデリダ、二つめがエリザベス・ディラーとリカルド・スコフィディオ、ピーター・ライスはUNSTABLE STRUCTURE、マーク・ウィグリーはHEIDEGGER`S HOUSE そしてジョバンナ・ボリドーリはTHE ITALIAN HEIDEGGER;PHILOSOPHY,ARCHITECTURE AND WEAK THOUGHTという論文を書いている。タイトルだけ見ていても、ポストモダンんの終焉そして90年代の始まりを感じさせる。そして篠原一男のTHE NEW MACHINE;ABSORBING CHAOSという論文が目にとまる。論文と共にコロンビアでの展覧会風景写真が掲載されている。1991年篠原の展覧会がコロンビアで行われていたというのは知らなかった。論文はカオスについてのアンソロジー。`I`という主語がやたら目につく文章である。篠原らしい。カオスのアンソロジーといのも時代を感じさせる。90年代が現在につながっているのは確かであろう。そんな時代に篠原がいてハイデッガーが重要な役割を果たしているということを再認識する。この偉大な哲学者の息の長さに驚きを隠せない。