走り続けること
朝早く起きて研究室から送られてきた模型写真をプリントアウトして事務所の壁に貼り付けた。まだ誰もいない事務所で写真を見ながらその全体像を想像してみた。模型は三種類作られていた。同じテーマで三種類。微妙な差である。メールだけで判断して次ぎの指示を出すのはすごくしんどいのだが、そうやるしかないのだから仕方ない。理解のための情報不足とかそれを伝えるための言葉の問題以前に現前しない対象(もちろん写真とか図面はあるのだが)へ自分をコミットさせるのは結構つらい。
昨日同様ひたすらパースを描いてそれに色を付ける。いい加減なパースにいい加減に色付けするのは慣れているのだが、ちょっと真面目に描いて素人に分かるように色をつけようとするとそのレベルの技は無いのがよく分かる。まあ仕方ない。プレゼン用なのだが、自分の空間理解用でもある。そして何よりもこうすることでその仕事への精神的なコミットが高まることが重要なのかもしれない。これまでもある仕事を忘れかけそうになるとひたすら意味も無くパースを描いたりしたことがある。そうすると何か発見がある。発見があるとまた一段その仕事へのモーチベーションが高まる。竣工するまで作品は成長するのであり、その仕事をよくしたければスタッフとの競走し続けなければならない。最終のアサマに乗る車中天野知香『装飾/芸術―19-20世紀フランスにおける『芸術』の位相』ブリュッケ2001を読む。分厚い本だが面白そうである。