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建築家倫理

台風が過ぎ去ったにも関わらず朝から雨模様。ついに秋雨前線だろうか?いやな季節である。そうめんを食べて事務所へ。A0勉強会。そろそろこのジョフリー・スコットArchitecture of humanismも佳境である。私の班は第九章の結論までやってきた。彼の語り口は最後まで自らが推す古典建築あるいはヒューマニズムを上げたり下げたりである。その迷路のような論旨を紡ぎだすのに苦労する。夕刻、帰宅夕食をとって一風呂浴びてから長野に向かう。車中、奥村俊宏 他『ルポ内部告発‐なぜ組織は間違うのか』朝日出版社2008を読む。企業倫理に関わるルポである。三菱自動車に始まりミートホープ、船場吉兆など昨今新聞をにぎわせた話題が事細かに記されている。これらの問題の表面化はコンプライアンスへの自覚が高まったことのみならず、内部告発者を保護する法律が制定されたことに依るところが大きいようである。
建築家としての倫理感とは何か?建築家はもちろんクライアントの利益代表者である。それはクライアントに最良のデザインを提供することである。そして同時に法を守り、施工者の施工が適正かを判断する。さらにクライアントの枠を超えて社会に対してそれが受け入れられるものであるかも考えなければなるまい。それは時としてクライアントの利益と矛盾する場合もある。
僕は日建設計時代にこうしたことを学んだ。退社後に林さんと会った時に日建で教わったことはデザインでもないし、仕事の進め方でもないし、建築家としての倫理だと言ったら。「ほーそうですか」。とちょっと意外な顔をされたのだが、それは今でもそう思っているし、そんなことはなかなか学べない重要なことだと感じている。耐震偽装を始めわれわれ建築関係者も建築技術者倫理を強く自覚しなければならないことは言うまでもない。

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