イタリア友好
イタリアのレッチェという市が日本との交流を深めたいという。面白いことにその話を受けたのが日本のとあるイタリアンレストランのマスター。そのマスターの輪で人が集まることになった。私も航空関係の親しい先輩からレッチェと交流を深めるためにはバロック建築をわかる人間が必要だと言われ参加することになった。集まった人たちはビジネスとは関係なく皆で楽しもうという魂胆である。jtb,jal 国土交通省、イタリア語通訳、集まった場所は新宿御苑裏のイタリアレストラン。このレストランが前代未聞。こんなイタリア料理屋は初めてある。普通のイタリア料理は(まあフランス料理もそうだろうが)料理に合わせてワインが出るのだが、ここはワインに合わせて料理が出る。と言えば少し大袈裟だが、料理ごとにワインが全部入れ換わる。料理が出ると次のワイングラスがサーブされ、そこに次のワインが注がれるのである。もちろんその量はそれほど多くない。しかし、だからこそ飲み過ぎずワインの味がよくわかる。そして極めつけはデザートワイン。赤の冷えたスィートワインなのである。これがドイツワインとは全然違う深みのある甘味であった。料理もレアである。フォワグラのパテに一年に10キロしか取れない蜂蜜をつけたりする。日本のイタリア料理は洗練されている。去年イタリアに行って、イタリアのイタリア料理より日本のイタリア料理の方がはるかに美味しいのはなぜ?と疑問に思った。それは日本のイタリア料理の方がイタリア料理の本質に近いのか?それとも日本のイタリア料理は単に日本人の口に合うように開発されたのか?どちらですかとマスターに聞いたら後者ですと言われた。まあそんなことなのだろうとは思ったが。
レッチェ交流第一弾はどうするか?国交省には10月から観光庁ができるわけで彼も多いに乗り気である。坂牛が企画するレッチェバロックの町並みめぐりはどうか?と彼が提案。jtbの先輩が「それ売れないでしょう」と冷たく却下。国交省の先輩は「いやそんなことはない。是非やろう」と酔った勢い。まあレッチェの大学と提携するなんていうのが僕としてはありがたい。世界の田舎と手を結ぼうというのが今のところ信大における僕のコンセプトである。
国交省の先輩は高校の四つ上級生ということもあり、昨今の一級建築士問題で大学が右往左往していることの文句を言ったら、「本当に役人はダメなんだよ」と自戒の念をこめつつおっしゃていた。「役人はとにかくクレームに対して、何かをしたという事実を残したい人間が多い」とか。どうしたらいいんですかと聞いたら「新聞に書かせるのが一番効くよ」といい知恵をいただいた。「大学の先生はまじめだからねえ。正論を吐いても、役人は動かないんだよ」だそうだ。そういうもんだろうか?