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常識

7月6日
朝日が山裾から昇るのを見たく5時半に起きる。その日の出の場所を確認したかったが雲が邪魔して見えなかった。朝食前にもう一度敷地周辺を見て回る。隣地の保養所や電信柱が視界をさえぎる。なかなか方向性の見つけにくい場所であることを再認識。朝食後空港まで車で送っていただく。昼ごろ帰宅。昨日、今日のおもてなしの御礼をしたためる。その昔、林昌二さんにとある件で礼状を書いておいてくよう言われたことがある。投函前にその文面を真っ赤にされた。礼状の書き方を教わった。「人に何かを頼まれたら断ってはいけない。人に何かをしていただいたら御礼せよ」と当たり前のことを再三言われた記憶がある。若い頃はなんと小うるさい舅のような人だと思っていたが、そういうことはやはり必要なのである。彼は建築もうるさかったが、それ以外も(いやむしろそれ以外の方が)小うるさかった。でもそれらは単なる常識ばかり、その常識から逸脱すると怒られたものである。九州からの機内で読み終えた『裁判の秘密』の中で裁判官とはオタクばかり、裁判とは常識で人を裁くことであるはずなのにその裁く側に常識人が少ない。法の番人としてのプライドばかり高いと書いてあった。建築家という人種も下手をするとそういうプライドがこびりつきやすい。「先生」と呼ばれることの多い職業はそうした陥穽が待ち受けている。その意味でも林さんの教えは有難い。
夕刻少し早めに家を出て長野に向かう。社中平松剛『磯崎新の都庁』文芸春秋2008を読む。著者は木村俊彦事務所出身の構造設計者であるが、ノンフィクションライター顔負けの筆力である。

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