tenorion
4月25日
早稲田の講義に行ったら研究室の学生が二人はるばる長野から来ていた。一緒に考えたコンテンツだから僕がどう話すのか興味のあるところのようだ。講義後彼等と一緒に内藤さんの設計したちひろ美術館に行く。ぼくはこの建物の外装色を見たかったのだが、行ってみるとその構造とかスケールとか様々な工夫に感心する。さすが内藤さんである。事務所にもどり日曜日から中国に行くナカジと中国でのスケジュール等、もろもろ打合せ。夜setenvが主体となって運営準備してきたtenorionhttp://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on/というヤマハの新しい楽器の日本でのお披露目コンサートに行く。この楽器は岩井俊雄とヤマハが共同開発したもの。はんぺんの一回り大きいような物体に16×16のボタンがついておりそのボタンと6つのファンクションキーを操ることで様々な音が出る。音が出るだけでなくそれらを記憶させ重ね合わせることでオーケストレーションできる。お披露目では岩井さん自身が一時間かけて開発経緯を説明。ジムオルークを含み4つのパフォーマンスが行なわれた。
エレクトロミュージックのコンサートはコンピューターを相手に演奏(といえるのかどうか分からないが)されるわけでアナログ楽器と異なり演奏者の動きと音に関連性がない。例えば弦を弾けば音が出るというものではない。だから演奏を見ていてもその姿に感情移入できない。視覚性が隠蔽された音楽なのである。だからいつもエレクトロミュージックのコンサートで感じるのはなんとストイックな音楽なのだろうかということである。視覚性を封印した音楽。そしたら岩井氏はまさにそのことを言っていてコンピューターに向き合った演奏ではなく、演奏という動作が音になるような新しいエレクトロミュージックの楽器を考えたという。確かにはんぺんを両手で持ってパネルを操作する姿はピアニカの鍵盤をたたく姿勢を思い出させる。しかしもっと似ているのはゲームボーイを操作する姿である。やはりコンピューターの域を出ていない。