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欧米

大学の近くに長野県民文化会館という建物がある。レンガタイル張りで屋根が背景の山を模してなだらかな斜面になっている。ファサードは三つの階段コアを構造にしガラスカーテンウォールで大スパン構造であるかのように見せた建物。日建の設計である。若き日の坂田さんの代表作だろう。その建物で卒業式が行なわれた。去年僕も学位記を頂くべく出席したのだが、あれからもう1年たったわけである。早いものである。午後は卒業証書、修士の修了証書の授与式を行なう。
夕刻謝恩会までの時間。珍しくぶらぶらする。昨日読み始めた『現代民主主義の病理』を読んでいてヨーロッパとアメリカを人くくりに「欧米」などと呼ぶことのナイーブさを知らされる。といってもその差はもちろん日本国外にいる時は身にしみるのだが、日本にいてボーっとしているとつい対日本文化圏として十派一からげに欧米などと片付けてしまうこともあるものだ。
また例えばインターナショナルという概念はヨーロッパではそもそもヨーロッパ列強が非ヨーロッパ世界に進出し、第3国を統治し管理する概念だった。それがアメリカ的な文化相対主義、世界的なデモクラシーの思想が出てくる時「世界的」という意味合いに変換されたのである。言葉の意味も欧発米での変遷ということも多々ある。うーん、そう要は、自分の専門分野の話の時は欧と米の差は明晰に分類されるのだが、そうじゃないところに話が移るとその差が急にぼけてくることを改めて気がつかされたということか。気をつけないと。

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