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富田玲子さん

ロンドン大学バートレット校から来たクリスチーヌ・ホーレイとその学生10人。千葉大の岡田さんとその学生20人につきあって東京巡りをした。クリスチーヌはバートレットのディーンでありエイドリアン・フォーティの同僚。もちろん岐阜で妹島さんや高橋さんといっしょに一棟集合住宅を設計した建築家である。何故か篠原一男のことをよく知っていて、その話しでもりあがり、またフォーティの翻訳をした件で話がはずんだ。フォーティーの本は英文でもなかなかエレガントなできで、バートレットでも教科書のような本らしく、学生は皆よく知っていた。クリスチーヌはさかんに僕がこの本を翻訳したのだと、学生に説明していた。原宿、青山、秋葉原で解散。一日歩いたら疲れた。帰宅後少し仮眠。読みかけの富田玲子さんの『小さな建築』を読み終わる。僕が高校時代、建築勉強しようと思って担任の先生に紹介してもらった先輩が富田さん。今でも鮮明に覚えているが、高校2年の時に行ったのが早稲田の寺の境内に建っていた2階建てのプレファブ小屋。富田さんは上品で静かでやさしい先輩だった。そこへ行くと大竹さんはスゴイ迫力。事務所にあるもので脳裏に焼き付いているのはサッカーボールとスパイクと一升瓶。建築家のいる大学に行けと進められた。その時あがった名前が篠原一男。でも大竹さんは篠原の建築を建築とは認めないと言っていたのもよく覚えている。その時富田さんはどう思っていただろうか?『小さな建築』には富田さんの実家の傍にあった篠原先生設計の谷川俊太郎邸を見せてもらった話しが出ていたが感想は記されていなかった。
富田さんは想像していたとおり、パワフルである。女性で建築家になるということは乗りこえるハードルがいろいろあるのだろうが、富田さんは事も無げに楽々とこなすようなひとなのだろう。プロにならないのにピアノを一日5時間弾いていたというのを読むとそうした資質を感じる。つまり努力を努力だと思わず出来る人である。建築家ってそういうバカみたいな力がいる。高校時代にお会いしたときに既に子供もいながら沖縄の仕事をしていたのだと思うが淡々と建築をされていたような雰囲気が漂っていた。5000ccくらいの車が静かに100キロで走っているという感じである。女性が建築家になるのは今だって大変だと思うが、富田さんのような資質と才能がいるのだと思う。一度信大にもお呼びしてレクチャーしてもらおうかしらん。

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コメント

バートレットを含むロンドン大学UCL校の同窓会幹事を長いことしています。その関係で、入学希望の学生への東京の説明会を2年程付きあいました。バートレット希望の学生が多く、ポートフォリオなど持って、熱心に来たことが、印象に残っています。

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