綺麗さび
1月6日
NHKの日曜美術館で小堀遠州が特集されていた。夏に京都造形大に行った時に植南先生に是非見ていけと言われた南禅寺金地院の八窓の茶室が紹介されている。銀座松屋で展覧会をしているようだ。今日は友人の昇進お祝いが銀座近くであるのでちょっと展覧会を覗くことにした。会場は和装の女性が溢れんばかりである。日本には茶を習う人が多いのだろう。とてもゆっくり見ているどころの騒ぎではない。最近デパートと六本木近辺の美術館は大混雑である。いかに彼等が人を呼べる展覧会をしているかということがよく分かる。逆に言うと人の来ない企画はしないということでもある。こう言っては申し訳ないが、原美術館のピピロッティ・リストなんて丁度いいあんばいであった。
小堀は利休に幼少に出会うがわびさびを脱却して「綺麗さび」という新たな概念を生み出した人だそうだ。綺麗の概念とはそれまでのわびさびに品格、洗練、開放、明るさを加味したものだそうだ。と言われて茶器などを見ても僕にはよく分からない。が、茶室を思い浮かべるとこの「開放と明るさ」だけは少し分かる。それは八窓の茶室がそうだったからである。わびさびの茶室が薄暗いのに対して八窓の茶室は八つ窓があるというくらいのことはあってとても明るいのである。それに書院をくっつけて人を呼ぶことをいろいろ考えたようだ。少数の人間が対峙するなかで生まれるミクロコスモスを開放したのである。
今設計中の茶室もその意味では綺麗さびである。