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成文先生

昨日は坂牛研2回目の卒業生、修了生による謝恩会。嬉しいなあ。この日だけは教師冥利に尽きるときかも。できてありがとうと言われるそのときのために汗水たらす建築家と同じである。今朝は朝から某市のプロポーザル審査で8時に迎えが来た。10時から15時まで7社のヒアリングを行い1社を投票で選ぶ。公開である。票が割れるかと思ったが、1回の投票で決まった。帰宅のバスで鈴木成文『五一白書 私の建築計画学戦後史』住まいの図書館出版局2006を読む。そもそも計画学というものが大嫌いだった私が計画学に興味を持つようになったのにはいくつかの理由がある。一つは成文先生が高校の先輩であり、ある飲み会に延々と付き合ってくれたから。まあこれは下らん理由なのだが、二つ目は、僕の研究室の院生が成文先生の計画学から順応型と規定型とうい概念を引用しそれを使って現代住宅を分析しているのを知ったから。つまり成文先生の計画学の中に現代住宅を解くキーワードが潜んでいることを知ったからである。だから計画学に興味が湧いたというよりは成文先生に興味を抱いたと言うほうが正しい。
そんなわけで先日あまり行かない建築本の売り場を通り過ぎたときにこの本が目に留まった。読んでみると実に面白い。彼の自伝のようなもの。あの温和な成文先生の人となりがプランに浮き出てくるその昔の状況が鮮やかに描かれている。父親が仏文学者だそうだが、彼もその風貌とキャラクターは建築学者というよりは文学者というほうがあっている。そしてその文章もやさしく惹きつける。

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