音楽の空気
武満徹の展覧会を見に行ったので武満と小沢の対談を買って読んでいたら、空気の話が書いてあった。空気は音楽に強く影響する。最近の演奏会場は空気が大事にされていない。やたら音を吸い取り、音が空気と響いている感じがしないという。
ホールも日本のホールは残響が短いのだろうか?短いほど几帳面な音になると思うのだが、ボストンあたりは長いのか?あまり指揮のサインを几帳面に出す必要がないという。また楽器は生まれた空気のところでないといい音がしないとも書いてある。武満のノヴェンバー・ステップをニューヨークで演奏したときは、尺八は割れるし、琵琶は濡れタオルで包みセロリの葉を巻いて乾燥を逃れたと書いてある。うーんそうか日本の楽器は湿気を好むのか。
ヴァイオリンはまったく逆で梅雨になると音が出なくなるのである。箱は湿気ると響かなくなるし、弦は伸びるので音程がどんどん下がる。冬はそれに比べて実に良いのである。武満も書いている。日本のヴァイオリニストは海外に行くと(湿気がないと)うまくなったと誤解する人がいるようだと。