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建築家という宿命

梅雨前の夏日。これから梅雨になると思うと憂鬱である。梅雨とか台風とか建築家にとっては魔のシーズンである。
去年金箱さんが松井源吾賞をとられた時、受賞パーティーの祝辞で原さんが言っていた。「昔は台風が来ると自分の設計した建物をそれて行くことを願っていたけれど、最近はどこを通っても自分の建物があるので逃げられない。でも金箱さんの設計はそんな心配を吹き飛ばしてくれる」本当にそうだ。建築家とは因果な商売で自分の建物が建っているそばに行くと気が休まらない。自分の設計したものによって豊かな生活が送れているだろうか、何事も無く平和に過ごしているだろうか、いろいろなことを考えてしまう。そして年をとればとるほどそういうものが蓄積されるのである。喜びも増えるが心労も増える。一生付きまとうのである。

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