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イージーな文化再生産はもうおしまいにしよう

これはブルデューの文化再生産理論の知見の一つだそうだが、「労働者や農民の子弟は・・・一定の自己限定を行い、法学部、医学部、薬学部をあまりえらばないという傾向がある。代わりに、文学部と理学部に進む、」(宮島喬『文化的再生産の社会学』)その理由の最大のものは、彼等は自分たちの身近な世界にそのモデルを見出すということであり、身近でないものからは無意識のうちに遠のくのである。これはブルデューのフランスでの調査結果であるが、その文化的再生産の仕組みは日本でもほぼ同じであろう。人は身近なモデルに進みやすいのである。それは大学の学科選択に始まり、就職へとつながる。
つまりもうすぐ佳境にはいる大学の就職戦線においても言えることである。先輩が進んだ就職先をイージーなモデルとして自己同化させながら自分の未来像を作り上げる。そして長年その再生産が行われてきたのである。ある狭い殻の中で安穏としているように見える。人のことを非難するつもりなど全然無い。自分がまったくそうだった。ほとんど何も考えず就職した悪しき例である。だからこそ信州大学の学生にはそうなって欲しくない。自分の可能性を信じて自分の身近なイージーなモデルに自己同化せずに、チャレンジして欲しい。今まで先輩が行かなかったようなところでも自分の進みたい道があればとことん挑戦して欲しい。それができるだけの力は、少なくともデザインの分野に関しては3年かけて教えるつもりである。

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