パウル・クレー展
国立近代美術館でパウル・クレー展を見た。見たと言うのは余り正確ではない。混んでいたので走って通り過ぎた。3つほど気になることがあった。一つはこの間読んだ『半透明の美学』で岡田さんが言っていたクレーのグレーの色使いである。クレーの鮮やかな色はグレーで引き立っているのだが実はグレーはわき役ではなく主役でさえあるという。その言葉が気になってその気で見ていると不思議なものでそう見えてくる。確かに人間の目は鮮やかな色に引きずられるがグレーの面積のほうが大きい絵もある。でもクレーはやはりあの鮮やかな色の方が僕は好きだ。二つ目は二つの特徴的な色遣い。グリッドで区切られた色と拡散する色。これはどちらもいい。3つ目は、西澤くんの会場構成。アトリエごとの個室のようなしつらいとランダムに壁が配置された大空間。ギャラリー風の小空間は好きだが、大空間は散漫だ。