路上
国立近代美術館の2階で「路上」という展覧会が行われている。収蔵品+アルファで路上というテーマに合致する作品が展示されている。道というのはなかなか興味深いテーマである。岸田劉生の「道路と土手と塀」や東山魁夷の「道」など。しかし圧巻は道のファサード写真を撮った絵巻物のような二つの写真集である。一つはエド・ルシェー『サンセット・ストリップ沿いのすべての建物』1966年もう一つは木村荘八『銀座界隈』1954年である。二つを比べてなるほどと思ったのは、サンセットの方が道自体かなり長く、そして建物が低くて横に長い。だいたい2階建てが多い。そして空き地が多く緑も随所に見られる。一方銀座は短い道に小さな建物が沢山並んでいる。高さはサンセットより気持ち高い気がする。もちろん空き地は無いし緑は殆どない。
という印象は今から半世紀前のことだが、恐らくその印象は今も変わらないと思う。サンセットを車で飛ばすと高いのはパームツリーだけで空は確実に銀座より広い。ストリートの印象は空の広さと緑の量に大きく左右されるということだ。
ところでこの絵巻物のような長―い写真集を展示しているベニヤのケースは西沢徹夫君のデザインだそうだ。毎回素敵なディスプレイに感心する。