オープンハウス2題
山中湖畔に木島千嘉さんの設計した別荘が竣工した。この別荘は敷地内にあるもう一つの古い別荘と双子のような関係なので双子座荘と命名された。クライアントはとある美術館の館長さん。専門は古代ローマということもあり、建物内は美術館のごとし。ソーン邸と言えば言い過ぎだが、家具、調度品、絨毯、テキスタイル、照明、壁紙、カーテンに至るまで、クライアントとの合作という感じである。こういう感覚の建物は今まで見たことが無かったが、なかなか面白いものである。明るい階段室をめぐる視線の抜けは前作と同様な手法のように見受けられる。しっとりとした大人の設計である。
午後バスで東京に戻り、江古田に出来た長谷川豪さんの設計した集合住宅を見に行った。打ち放しの7階建て、千㎡程度の中に22戸がはいる。それらはほとんどがフラットだが、メゾネット、が数個入っている。外観は四角い開口部がランダムに配置されていて昨今のデフォルトなエレベーション。明るい内部が印象的である。それは、水回りを透明にして一般の部屋とプロポーションを揃え、一般の部屋と同様な配置をしていること。加えてテラス的な部分もそのように扱っていること。つまり外部も、水回りも、部屋も配置やプロポーションにヒエラルキーを与えず同質に扱うことで、空間の抑揚を消去し、同質で明るい空間に作り上げている。コンベンショナルな生活から見ればかなり乱暴なところもあるかもしれないが、こういう空間を好む人はいるだろうし、狭い都心の集合住宅であれば一つの楽しい解放だと思う。