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鈴木治《蜃気楼》1989

オペラシティアートギャラリーの「土から生まれるもの」展を見た。平たく言えば前衛陶器の展覧会である。
土と言うタイトルが示すとおりここにあるものは「自然」の作り方への挑戦のように見える。並んでいる物は大きく二つの試みに分けられる。一つは自然の質料を持ちながらさらに自然の形式を作ろうとするもの。つまり土の質感と色を持ちながら更に形状もアモルファスでその辺の山に行けば転がってそうな石の破片のような形を模したものである。一方もう一つは自然の質料を用いて人工の形式を作ろうとするものである。人工の形式とは基本的に幾何学なのだが、立方体や球と言ったリテラルな幾何学形状ではなくここに示す鈴木治のもののように幾何学が緩く変形されたものもある。
前者のタイプは徹底した自然を人工である人間の手で作ろうというものでありそのずれのに表現としての強さが生まれる。一方後者は質料と形式の間にすでに一つのコントラストが生まれているわけだ。昨今の建築はこの後者の手法の延長にあるといっていい。
特にこの鈴木の作品はこの写真のようなずれた幾何学形が10個くらい並んでいるが実に建築模型のようである。とてもきれいであった。ちょっと前に同じ場所で行われていた伊東豊雄の展覧会を思い出してしまった。

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