ファッションを変えたのは
横田尚美『20世紀からのファッション史−リバイバルとリスタイル』原書房2012は成実弘至『20世紀のファッション文化史』河出書房新社2007と類似するテーマの本だが、後者がデザイナー別の章立てなのに対して、事柄で章立てている。面白かったのは20世紀ファッションの流れを変えたのは戦争、エキゾシズム、リバイバルという認識である。
例えば20世紀初頭にコルセットの呪縛から解き放たれた要素は3つあって、着物などの東洋の服のゆったり感の影響(エキゾチシズム)。二つ目は古代ギリシアローマの緩い服の再考(リバイバル)。三つ目は戦争に人が駆り出されたことでメイドがいなくなり人手を借りないと着られないような服は望まれなくなったということである(戦争)。またアメリカの消費文化で一躍名をあげたマッカーデルのジーンズ生地のドレスは普通の服を作る物資不足から考案されたものでもあるなどなど。さてこのリバイバリズムだが20世紀初頭はローマなどのはるか昔を省みたが、今では10年前のリバイバルというようなことがよく怒っている。つまりリバイバルのインターバルが短くなってきているというのである。
こうした傾向は建築にも同様にあてはまる。20世紀建築の流れを変えたのはエキゾチシズム(異文化の影響)、リバイバリズム(新古典主義、90年代のモダニズムリバイバル)、戦争(ファシズムデザイン、機能主義)。といえば言い過ぎか?