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家か士か師か

私の大辞泉によると、「家」とつく職業は「そのことに従事している人であることを表す」。例として噺家、革命家、芸術家が挙げられている。一方「士」がつく場合は「一定の資格・職業の人」で弁護士、イエズス会士が例示されている。また「師」がつく職業もありこれは」技術・技芸などを表す語について、その技術の専門家であること表す」とあり例として「医師」「理髪師」などが挙がっている。その技術の専門家はすなわちその資格を持っているようなものだから士でもいいと思うのだがそうはなっていない。

上記例以外にも家だったら書家、建築家、(身近なところで)、士だと会計士、税理士、技術士、師なら薬剤師などあり建築家も資格で言う時は一級建築士となる。こうしてみると士と家の違いは、士や師は技術や資格が前面に出る特殊技能であり間違いが許されない厳格な内容の職能である。かたや家の仕事は生活がそのまま仕事であり、特殊技能ではなくその人の信念と感性によってどうにでも変化しその良し悪しは一義的に判断できるようなものではない場合が多い(ように思う)。職業に貴賎はないのでどちらが上、下ということは全くない。ただ期せずして、そういう差がありそうだということである。
そうしてみると私の父は革命できなかった革命家であり母は薬剤に触ったこともない(だろう)薬剤師であり私は建築家であり建築士、配偶者は書家、兄はエンジニアだったが営業に変わり家でも士でもない人になった。僕の職能だけ家と士の双方の職責が課されているというのが面白い。こういうプロフェッションは世の中に他にあるのだろうか。二枚舌で生きろということであろうか?家だけの人、士、師だけの人、何もない人が少々羨ましい。

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