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建築多様性も大事だな

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本川達雄『生物多様性』中公新書2015は実に建築的に示唆的である。生物は数十億年存続して絶えない。絶えないことが重要だと著者は言う。では生物はどのようなメカニズムで存続してきたか?それを二つの建築、法隆寺と伊勢神宮を例にだし説明する。法隆寺は形を残し、材料も極力残し、機能も残し今に至る。一方伊勢神宮は形を残すが材料は数十年ごとに全部取り替え、機能も残し今に至る。生物の存続はどちらかというと伊勢神宮型。生殖により発生して寿命とともに死ぬ。生殖において材料(細胞)は新たになり、形を残し機能も残す。しかしこの新たになる発生時に実は前とは少し変わる。それは環境が変わっているからそれに適応するように変わるのだと。そうして一つの種は多様な種に生まれ変わり環境に適合する。つまり生物多様性とは存続の可能性を高めることなのだ。よって多様性には価値が有ると著者は言う(科学者は事実を語ることに徹するのが仕事で、価値付をすることは許されないけれどもう大学定年したからいいらしい。ちなみ価値付けをする学問は倫理学なのだそうだ)。
おそらくこの議論はアナロジカルに建築においても正しい。建築多様性には価値がある。それは建築の存続を機能的にも、風土的にも、担保するからである。ローカルな建築群を一掃する再開発は言ってみれば珊瑚礁破壊による生物多様性破壊に等しい建築多様性破壊と言えるのではなかろうか?

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