国民主権とは
今日は岡山に大学の用事でやって来たその行きの時間で国分巧一郎『近代政治哲学——自然・主権・行政』ちくま新書2015を読む。人間の自然状態を戦争と言って社会契約論を歌ったのはトマス・ホッブスだが、その概念はスピノザ、ロック、ルソーへ受け継がれたわけである。ルソーは東浩紀の著書で有名になった一般意志なる概念の考案者。面白いのは、市民の全体意志である一般意志は法にはなっても、個別的行政の場では反映されないというあリアルな観察である。そしてそれは現在でも変わらない。自然状態を律するルールが主権となった経緯はあるものの、我々の意志は行政には反映されにくい現状の仕組みを国民主権といえるのか?と言う著者の問題提起に深く同感である。