関係のデザイン
1998年にフランス出身の理論家・キュレーターであるニコラ・ブリオー(1965-)によって書かれた『関係性の美学』によればリクリット・ティラヴァーニャ、リアム・ギリック、フィリップ・パレーノ、ヴァネッサ・ビークロフトなどの作品を「関係」を創出する作品として評価している。その関係性をウォーカーアートセンターのキュレーターであるAndrew Blauveltが時代の推移として表化している。この表はおそらくモダニズムを第一段階として、ポストモダニズムあたりを第二段階に置き現在を位置づけている。
それによれば、時代は左から右に次のように変化している。
統語論⇒意味論⇒語用論
形⇒内容⇒文脈
役割
デザイナー⇒作家⇒編集者
制作者⇒消費者⇒自給自活者
哲学
構造主義⇒脱構造主義者⇒プラグマティスト
文化
誰でも知っている⇒地方の⇒つまらない
図像的⇒語法的⇒散文的
論理
美学的⇒文化的⇒社会的
正式の⇒象徴主義の⇒プログラムの
過程
線状の⇒人工頭脳の⇒網状組織
反復の⇒可変の⇒生成的な
無限の形態⇒可変の解釈⇒偶然の解決
現在を語用論の時代とするのは分かりやすい言い方だろう。つまり同じデザインでも文脈が違えば意味も見え方も違うという認識である。しかしそれはそういうこともあろうが、建築は今でも形だったり、美学だったり、そんなこともなくなるわけではない。