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視覚論が導くもの

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今日は視覚性について整理。視覚論の古典であるジョージ・バークリーの『新視覚論』を再読。視覚は情報を受け入れる視感覚とそれを理解する空間感覚とに分かれ。後者は経験、教育によって育まれると言うバークリーの指摘は現在まで生きている。
よく視覚は飼い馴らされるとか、視覚は制度だというがつまりこの後者の部分が時代や場所によって変化することを言っているわけである。
消費と言うテーマでは消費社会以降という次の時代感がありそれに適合する建築を考えることが一つの問いになるのだが、では視覚の場合はどうなるのだろうか?
僕はこんな風に考えている。先ず視覚学者マーティン・ジェイの言う近世の三つの視覚に注目してみる。それらは透視図、バロック、17世紀オランダ的視覚の三つである。最初二つは有名だが3つ目はどのようなものかと言うと、断片的で、近視眼的に物質性を熟視し、輪郭があいまいに次の視点へ地すべりするというものである。
実はこの視点は現代写真家ティルマンスの指摘と完全に一致しているのである。ティルマンスは最近の写真集のインタビュで断片化、高解像度、多重性を現代的な視覚の動態として捉えている。その意味でこの3点は今まさにもっとも現代的な視覚のようだ。ではそれはいかに建築化されるのか?あるいはそういう目で建築の魅力を引きずりだすとどうなるのか?というあたりがこのテーマでの問いとなる。

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