完全な民主主義なんてない でも民主主義の近傍はあるはず
ジャック・デリダは民主主義は完成しない(我々が我々を統治するということの完成型などない)けれど目指されなければならないと言い、それを「来るべき民主主義」と呼んだ。デリダ研究者である國分功一郎の『来るべき民主主義』幻冬舎2013は著者による道路敷設反対運動の実体験+デリダの思想を軸とした民主主義への提言である。
これほど民意が反映されない政治をなぜ民主主義と呼べるのか疑問に感じた著者の結論は明快である。それはルソーによって「立法権を主権(住民)が掌握することを民主主義と呼ぶ」と決められたからである。しかし現在我々の周りの様々なことを決めているのは立法の場(議会)ではなく、実は行政の場であり。そして我々は行政の決定に手も足も出ず、行政の人間を選ぶこともやめさせることもできないということに著者は思い当たるのである。そこで著者の提言はでは行政の決定に反対できる実効的な制度として住民投票を確立せよというのである。
シンプルな着眼点と対策だが「来るべき民主主義」に近づくための実効的な提言ではないかと共感する。