都市のαスペース
最近、都市の自由空間に興味がある。それもプライベートプロパティの中にあるパブリックな空間に興味がある。発端は去年のブエノスアイレスで行ったワークショップのテーマである「αスペース(住宅に公共的なもう一つの空間を挿入する)」だが、先日のアルゼンチン・スペイン建築シンポジウムンのテーマも都市の公共性ということだった。
都市の発生原理からしてスパニッシュな国と日本では大きな差がある。彼らは中央のプラザからグリッド状の広がりを形成するのに対して日本の都市は人々の集う広場というようなものは明示的には存在しない。道それ自体が人々の集う場なのである。
こんな議論は昔からあろうと思って調べると鳴海 邦碩氏が1982年に『都市の自由空間―道の生活史から』中公新書という本をお書きになっている。副題は道の生活史となっているが、道に限らず人々が集まって暮らす上で住居の外部には必ずや人々が集えたり遊べたりする自由空間が必要であることを訴えている。更に重要なのは広場や道など誰もが思い浮かべる公の場所に限らず公共、共有、私有のそれぞれの領域に自由空間がありそれをどのように生み出せるかを考察しているところである。そしてそれは先日ジョアン・ロイグ、も指摘していた。今重要なのは駅や空港の公共空間だと。しかしそういうそもそも公共性の高い場所がそうであるのは当然だし、駅や空港はそんなにたくさんあるわけでもない。もっと世の中にたくさんある施設に自由空間(αスペース)が欲しいものである。コンビニ、オフィス、郵便局、銀行、、、、、