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論理学入門


どこかの大学で一番売れている新書だと言う野矢茂樹『入門論理学』中公新書2006を思わず読んでみた。高校生か中学生の高学年でやった論理学の基礎がとてもわかりやすく書いてあった。一番面白いのは排中律。AはBであるか、Bでないかのどちらかである。という命題がいつでも正しいというのが排中律である。中間を排除するということである。確かに僕は日本にいるかいないかのどちらかであるというのはいかにも正しい。しかし僕は富士山にいるかいないかのどちらかであるとなると富士山とはどこまでかがそもそもよくわからないのだからこの命題は正しいだろうか? と迷ってしまう。しかしそんなことを認めずどこかに富士山の領域がありそこにいるかいないかは半ば自動的に決まるという上から目線でこれを肯定してしまうのが排中律である。こういうのを実在論的立場で神の論理。一方証拠不十分でよくわからないという状況を認めるのを反実在論的立場で人間的論理だと著者は言う。
なるほど世の中おかしいことだらけだということを認めるのが人間的である。建築をそうやって排中律で切り崩していくときっとそこに人間的なグレーゾーンが見えてくるように思える。排中律が成立しないだろう事象はおもしろそうだ。

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