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成熟した人間は必要とされることを必要とする


「人にものを頼まれたらよほどのことが無い限り断ってはいけない」とその昔林昌二さんに言われたのだが、先日読んでいた東工大教授今野浩さんの本にも工学部の教え7条の第4条に「仲間からたのまれたことは(特別な理由がないかぎり)断らないこと」とあった。僕が独立した時に先に独立した先輩に「頼まれた仕事を断ってはいけない」とも言われた。
3つの教えは全て断るなということなのだが、何故断ってはいけないのか?一番大きな理由は、頼む以上は君の力が欲しいからなのであり、君が必要とされているからなのであり、それを断るとその後君は必要とされなくなるからということのようである。
見田宗介の『現代社会はどこに向かうか』弦書房2012というブックレットを読むと、若い人に起こる問題の根本に生活のリアリティの欠如があり、問題を起こさず上手く成長してる若者にもリアリティの欠乏感があるという。そしてそこに必要なのは君が必要とされているという感覚である。
見田さんが紹介するアメリカの心理学者エリクソンはこう言った。mature man need to be needed つまり「成熟した人間は必要とされることを必要とする」。必要とされることがその人のリアリティを充実させていく。
このことは学生にもあてはまることだと思う。友人や先輩にものを頼まれたら(もちろん真面目なものに限るが)よほどのことが無い限りそれを断ってはいけない。もし断れば君は人に必要とされているという少ないチャンスをドブに捨てることになるのである。自分のやりたくないことを頼まれるのはごめんだと思うならば、自分が必要とされるであろうところに先回りして自ら始めて人にモノを頼む側になってしまえばいい。どちらもやらない人はいつか必要とされなくなる。

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