美味しい学食ってある?
青木保の『「文化力」の時代―21世紀のアジアと日本』岩波書店2011では東アジア共同体の構想を語る上で、各国の文化力について描かれる。その中で中国上海の話となり、上海にある3つの国立大学、復旦大学、上海交通大学、同済大学、そして公立の上海大学が登場する。教育レベルの話しになるかと思いきや、どこの食堂が美味いかという話。曰く「大学は単なる知識の教伝と研究の場であっては意味が無い」。食も文化の基礎的要素だと言うわけだ。そして同済大学の料理は最高であるという。彼は美味い食堂を持つことが大学の基礎条件とさえ言う。
なるほどねえ。国際的に見たらそうなのかもなあ。アメリカの話をすれば(20年前の話しだから今は知らないが)残念ながらそこにはジャンクフードが多かった。でもハンバーガーだってしっかりとした肉で日本の生協の揚げものよりは絶対美味いと思った。加えて空間が全然違った。当時の養鶏場のような東工大の学食に比べたらUCLAのそれは雲泥の差。名前は忘れたがカフェテリアは当時のロサンゼルスの若手建築家の代表作だった。ウッドデッキのテラスにはリスが普通にやってきて心から落ち着ける場所だった。
今の理科大の学食はちょっとひどい。そもそもがオフィスビルだから限界があるが照明くらい工夫した方がいい。学生が可哀そうである。こんなところで飯食わせておいて素敵な建築デザインしろって言うのも無理がある。大学は勉強するところだけれど衣食住のレベルを上げなければトータルの文化としてはさもしいものになる。外国からお客さんが来た時恥ずかしい。