あなたはマキシマイザ―それともサティスファイザー?
バリー・シュワルツという人の書いた『なぜ選ぶたびに後悔するのか』という本によると人間は「マキシマイザー」と「サティスファイザー」に分類できるという。マキシマイザ―は買い物などでモノを選ぶときにそれが最高のものだと確かめないと決定てきない。昔吉松さんが材料を選ぶときには可能な限り全てのカタログを集めないと決定できないと言っていた。彼はその意味ではマキシマイザ―である。一方サティスファイザーはいいと思うものに出会えばそこで決定できる人である。
さてあなたはどちらだろうか?
僕は建築以外では圧倒的にサティスファイザーである。着るものも、食べるものも、人も殆どファーストインプレッションである。なぜそうかと言うとかなりいいものに出会った後はかけた時間に対して向上する質の比率が小さいことを経験的に知っているからである。
しかし建築においては、昔吉松さんにそういう話を聞いて自分もそうなってしまった。日建時代は机の周りが床から壁から材料で埋まって毎年年末の大掃除の時に嫌になった。
しかし最近は徐々に「ほどほど」ということが分かるようになった。それは素材の全体像が分かってきたからだとも言える。本物を見なくても写真でだいたい想像できてしまうようになってしまった。あまりいいことではないかもしれないが、労力掛けて本物見てもこれは素晴らしいと感激する確立は低いことを知ってしまった。
もちろん時と場合によってはそれにかけるということもあるが、徐々に建築の場合もサティスファイザーに向かっているようだ。
もちろんどちらがいいと言う話では無いのだが、マキシマイザ―の方が一般的に後悔する確率は高いらしい(サティスファイザーは能天気だとも言えるのだが)。