窓はどちらに開けるべきか?
昨晩ポスドク候補のA君と作ったポスドク申請書を大学事務に提出。なんとか通るといいのだが、、、大学院の会議の後しばし研究室で読書。東京工業大学大塚本研究室編、塚本由晴、能作文徳、金野千恵著『Window space窓のふるまい学』フィルムアート社2010を眺めながらどうして西洋の窓は内開きが多いのだろうかと不思議に思った。オルジャッティ、コルビュジエ、マッキントッシュ、そして数多のヴァナキュラーな建物の90%が内側に倒れたり開いたりである。唯一堂々と外開きなのはライトの落水荘くらいである。自分の経験でもヨーロッパの古いホテルに泊まると大体内開きである。でもそれは数百年前の建物で鎧戸がついているので内開きにせざるを得ないからである。でもこの本を見ると近代的な建物だってそうなっている。さてどうして?
たまさかそばにあった浜本隆志『「窓」の思想史―日本とヨーロッパの建築表象論』筑摩書房2011にその答えが書いてあった。ヨーロッパの開口部は玄関ドアも窓も外側から内側に開くものである。それは著者自身が調べてもそうだし、一般にそう言われている。その理由は外敵の侵入を考えた時、内側に家具でも並べれば内開きは開けられなくなるからだと言う。そして靴を脱がない文化では玄関ドアが内に開いても靴にぶつかる心配はない。
一方日本では開口部にさほど防衛能力を求めていない。そもそも夜這い何て言う習慣を持つ日本文化では鍵などかけないことも多かった。そもそも近代までは開き戸では無く引き戸であり西洋建築が流入してきても靴を脱ぐ文化では玄関は外開き。加えて雨が多い風土では内開きは防水性能が悪いと言うわけである。
いやコルビュジエやマッキントッシュの国だって十分雨は多いのだが、、、、やはり防衛本能なのだろうか???