合同セッション
午前中のテレビ会議に出てから東京へ。車中印象派の本を読み続ける。重い荷物を一度家に置いてから、事務所へ。30分ほど打ち合わせをしてから金箱事務所へ向かう。長野の事務所スタッフと体育館コンペの構造打ち合わせ、もう少し時間をかけたいところだが、もうひとつ別件の打ち合わせがあり1時間で終わらせ、次の甲府の住宅の打ち合わせ。全体概要を説明したところで、残りはスタッフのT君に委ねて、渋谷へ向かう。東大、東工大、芸大三大学合同の修士論文、設計の公開ディスカッション。ちょっと面白い企画。芸大は構造金田研の家具的スケールの2作品。東工大は八木研の都市的論文と設計。東大はフラーと妹島論。これに対して、ゲストは建築家、アートディレクター、ファッションデザイナー、アーティスト、映像作家。発表内容の幅も、講評者の幅もかなり広い。これで横断的な議論をしようと言うのもかなり無理がある。全体を串刺ししようとすれば何かを捨象せざるを得ないわけで、こういう場合は徹底して局所的な議論の集積をしないと発表者がかわいそうである。妹島論は篠原、坂本、伊東とつらなる日本の屋台骨のような建築家の生血を吸って生まれた妹島和世を浮き上がらせた。もう少し突っ込んだ議論をしたいところだったが、なかなかディテールの話ができる状態でもなく、10秒で雑感を話、終わってしまい残念だった。またの機会にぜひ話してみたい。東工大は都市的なセンスと言っても少し概念的過ぎる。もう少し個人の実感として語っていかないと。芸大の形の習作はどう建築へ展開するのかがまだ見えない。いずれにしても時間が足りないというのが正直な感想である。
会場は満員で入れない人が数十人いたようだ。信大からも二人やってきていた。何とかは入れてよかった。ゲストの建築家である松原慈と有山宙が「先生覚えていますか」と言うので驚いた。なんと1999年に東大で最初に講義をした時の学生だった。そうかもう10年たつわけだ。彼らがもういっぱしの建築家になっているのが驚きである。松原はバラガンに感動して建築を始めたとレポートに書いてあったのを今でも覚えている。懐かしい。あれからバートレットに行ったという。相変わらず元気はつらつで頼もしい。