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執念の家

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昨日スチュワートさんに「9月にブエノスアイレスに行きたいと思っている」と言ったら、「へー」と驚くでもなく「何故?」と聞くでもなく、「あそこは危ないから夜は外出するな!飛行機の切符はすぐに予約した方が安い。僕なら今日予約する」と,まるで先生が生徒を指導するかのような対応。突如その場が20年昔に戻った。それで思い出した。そういえば学会の電車も宿もとっていない。一体はどこでやるのだったけ?大学は?ホテルは?僕の司会は何時?出張パックを探し、値段の比較をして、申し込む。会員番号?パスワード?先日のパソコンクラッシュでどっか飛んでったよ。ああいやだ。この手の作業は苦手。どんどん気分が落ちる。さっさと終えて、大急ぎで家を出て木島さんのオープンハウスに向かう。場所は逗子。戸塚乗換えで1時間電車に揺られ、駅からタクシーに飛び乗る。1800円くらいの場所。山道を登る。ここは何処?道は幅2メートルない?一体どうやって工事したんだよ?道の両側には家が建っている。でも多分普通の人ではない。どうしてもここでなければ住まないという固い意志があるひとたちだろう。息が上がる。道は続く。両側の家からはみ出る木が道に覆いかぶさる。そして緑の切れ目にレッドシダーの外観が現われた。およそ40度くらいの斜面にきのこの如く生えている。RC一層分の上に木造が3層乗っている。それもRCの設置面積を減らすためか木造の3層は斜面側に一層ずつせり出している。この建ち方に意地を感じる。中に入ると逗子の海が広がる。4層の空間は少しずつスキップしながら連続し、いたるところで外部の海や空が目に入る。木島さんらしい内外部のゆるやかつながりである。
この現場は工務店が2回倒産し最後は設計事務所が工務店をして設計者は延べ180日現場通いしたと聞く。ケーブルカーのようなウインチが無いとものを運べないような斜面を延べ3ヶ月登ってできたと聞くともはや執念を通り越した何かを感じる。
帰宅車中で『思想地図』の続きを読む。どうも東浩紀が自画自賛するほどビビッドに伝わってこないのだが、それは読み方が悪いのか?帰宅後シャワーを浴びて夕食をとり長野へ向かう。車中思想地図にも載っていた宇野常寛『ゼロ年代の想像力』早川書房2008を読む。こちらは大変面白い。90年代から2000年にかけて社会の想像力が大変換を起こしているにもかかわらず批評はそれについていけていないことを批判する。その通り。

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