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ond day trip

大学は公休。娘は合宿。1日旅行。箱根吟遊へ。道路わきのエントランスが5階。崖っぷちに建つ旅館である。露天風呂からの眺めが絶景と聞いたが本当である。飯がうまいと言われたが絶品。かつて泊った宿のなかでもかなり良くできている方だ。
温泉に入り鷲田清一『「待つ」ということ』角川選書2006を読む。現代社会が「待つ」ことを忘れ、一歩先を予測しそれを前提として現在を効率的に割り出すその姿を示す。著者が労働について考える研究会で仕事のプロセスを英語で考えていると多くの言葉にproという接頭辞が付くことに気づいた。Project profit program production progress promotion などなど。proはご存知のとおり「前に」「先に」「あらかじめ」という意味を持つ。これは現代社会において仕事が背負った宿命であろう。
ところがproのつかない仕事をしている人たちもいる。西村佳哲『自分の仕事をつくる』ちくま文庫2009ではおよそproとは関係なさそうな仕事ぶりが紹介されている。残念ながら建築設計という行為はどうあがいてもproかもしれない。つまりは設計という先を見越した事前の計画があり次にそれを形にするという二つ目の工程があるからである。一方彫塑のように作りつつ考えるものがある。こうした形式が仕事の中で成立すればそれはanti-proの仕事となる。「ワイアード」という雑誌を作った小林弘人氏は雑誌における建築的な(pro的な)側面を徹底して排除することを考えたという。つまり企画という設計図をあらかじめ考え、その後で組み立て、つまりコンテンツ作りや、デザインを外注して合体すると言うような方法を拒否したのである。だからデザインもエディションもすべて内注。作るそばから考え、考えながら作るのである。たぶんそうしたやり方には待つという行為、予測できないものに期待するという時間が必然的に生じてくるものだ。それを無駄と言うかどうかは作り方のかなり大きな別れめなのである。

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