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ポスト戦後社会

朝の用事を済ませ、朝食。今日は温かくて心地よい。読みかけの『サブリミナル・インパクト』を読み終えて、吉見俊哉『ポスト戦後社会』岩波新書2009を読む。読みながら年表のようなメモを作ったら、吉見の言う(その師匠である見田も言う)ポスト戦後社会への転換期である70年代半ばという時代が読めてきた。1975年に僕は高校へ入学した。そのころ社会では浅間山荘事件(72)があった。これを起こした赤軍派は戦後社会運動の一つの象徴である(因みにポスト戦後社会のそれはオウム真理教団と著者は言う)。政治では田中首相が逮捕(76)され重厚長大社会は終わりを迎える。70年の大阪万博は「人類の進歩と調和」がテーマ。未だ前進することへの希望があったが、75年の沖縄海洋博は「海その望ましい未来」がテーマ。地球環境への問がこのころから本格化する。71年にニクソンが金ドル交換の一時停止を宣言したことにより変動相場制となり巨額資金が世界を流動する。それまでの高度経済成長経済は、金融グローバリゼーションの渦の中に巻き込まれていく。更に80年代に入り中曽根政権が新自由主義的政策に転換、小泉で極まる。吉見俊哉は高校の二つ先輩だから、似たような時代を生きている人だが、僕にとっては戦後社会が単潤に戦後とポスト戦後に2分できるとも思いにくい。もちろん70年代半ばが一つの転換点であることに異論はないが、その後を一枚岩とするにはあまりに大きな変化があった。やはりバブル経済は日本をかなり大きく歪めた挙句に違う位相の時代へ投げ込んだ大事件であったように感ずるのだが。
夕食後エルザ・スキャパレリ『ショッキング・ピンクを生んだ女』ブルース・インターアクション2008を読む。先日読んだ谷川渥『シュルレアリスムのアメリカ』にスキャパレリは登場している。ペギーグッゲンハイムの友人としてアンドレ・ブルトン、マルセル・デュシャンと親交を持つという話だった。モダニズムのファッションデザイナーの中でも特に芸術的造詣が深いというのは有名な話。そんな興味から一読してみたくなった本である。

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