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女性性

23月9日
朝の特急しなので松本へ。山岳科学総合研究所での研究発表会。2日目ということもあって会場は人もまばら。「質料を顕在化させる設計手法」という昨年の中尾君の論文を紹介した。なかなかいい質問があった。建物表面の質料性と山の質料性をフラクタル次元を揃えることで調和させようというのが中尾君のオリジナリティなのだが、それはあくまでパターンの次元で終わっていた。質問は色もランダム配置させて周囲の色と建物のそれのフラクタル次元を考察できないか?というものだった。なるほどそこまで考えていなかった。思わず「とてもいいご意見ですね」と口をついた。今後の課題としよう。
午後大学に戻りジェンダーと建築のパワポを作る。先日ブログにジェンダーのことをかいたら竹内氏から新建築に真壁さんがカワイイ論を展開しているという貴重な情報を貰った。さっそく読んでみた。なるほど。四方田犬彦の『かわいい論』ひいては松岡正剛の『フラジャイル』から脈々と連なる「強い」へのアンチテーゼは世を席巻していることがよく分かる。更に真壁氏のカワイイ論は昨今の使う学生の言葉に注目している。曰く、もはやそこには理路を導く道具としての言葉ではなく、感覚を吐露する言葉が溢れているという。さらにそうした言葉が新たな建築に繋がる可能性を示唆している。これは僕がこの間の10+1で書いた「モダニズム言語は死滅したのか」と全く同じ主張である。思わず我が意を得たりと嬉しくなった。再度『言葉と建築』のジェンダーの項を読み直し、西洋の男性優位、日本の父権の崩壊、ハイパージェンダーの登場、そして現代の女性性の反逆へとつなぐストーリでまとめることにした。夜レイトショーで「エリザベスゴールデンエイジ」を見た。フォーティー(『言葉と建築』)によれば西洋ではギリシア以来男性性が圧倒的に優位であり、その例外はライトまで登場しないのだが(ライトはラーキンビルを男性的ジョンソンワックスをその娘と呼び女性的建築と位置づけた)果たしてエリザベスの時代においても建築は男性性優位だったのだろうか?Virgin Queenと呼ばれた彼女が統治した国においても?

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