ヴィダル・サスーン
午前中の講義と午後の製図。今年の2年生は去年より元気がありそうな気がして嬉しい。あくまで最初の印象だけど。これが半年続くと豊作なのである。そしてそうした印象があると講義も製図も力がはいるのだが、相変わらず講義では寝ている輩が2割くらいる。そういうやつは来なければいい。別に選択なんだから取らないで欲しいのだ。いちいち寝ているやつに起きろという気も起こらないし。
帰宅の車中で『ヘアー・カルチャー』を読む。読みはじめは余り惹かれない本だったのだが、途中からがぜん面白くなってきた。ヘアデザインにもモダニズムがあったというあたりが興味をそそる。50年代まで、欧米のヘアデザインは彫刻の如くパーマをかけて逆毛を立てて形を作ってスプレーで固めると言うものだったという。60年代になってもビッグヘアーと呼ばれるそうした彫刻のようなヘアーデザインは全盛で一晩寝るともう崩壊とうい代物だった。それを革命的に変えたのがヴィダル・サスーンだった。英国生まれの彼のヘアーデザインポリシーは「ただ正しく切ればいい」というものでその人の髪質と頭の形にあった切り方を目指したものだったそうである。そして彼のカットは一日で崩れる彫刻ではなく、固定的な定型を保つのではなく髪に合った自然の形に戻るような切り方だったそうだ。『ヴォーグ』の編集者グレース・コディントンはモダニズムの理念をヘアデザインに導入したのはサスーンであると主張した。更に『ヴィダル・サスーンとバウハウス』なる本まで出ているとのこと。
確かにカタチ優先から機能的な髪型へのデザインとはいかにもモダニズム。しかしサスーンがアメリカに最初の店を出したのは1965年でコルビュジエが死んだ年である。なんともその時代差は不思議と言えば不思議である。