99.9%は仮説
6月18日
昨晩駅前の平安堂に平積みになっていた『99.9%は仮説』竹内薫光文社新書2006を買って風呂で読んだ。大学で疲れると夜平安堂に来て手ごろな読み物を買ってその下の蕎麦やで蕎麦を食べながらその本を読み家に戻り風呂で読むというのが習慣になっている。新書を読みきるのには丁度良い。
竹内薫が高校の一級後輩だということを誰かが教えてくれた。しかし高校時代に彼の記憶はない。今では方々で名を見るなかなかの売れっ子のようである。
この本は仮説という言葉をある時代の常識あるいはエピステーメーという意味で使い、その仮説に侵された頭がおこす様々な科学の事例を教えてくれる。科学音痴の私にも楽しめた。一番おもしろかったのはピエール・デュエム(1861~1916)の言う「仮説を倒すことができるのは仮説だけである」という言葉である。一般には仮説を倒すのはデーターなのだが、データー自体がある仮説のもとに集められている(バイアスがかかっている)のでそのデーターでその仮説を倒すことは出来ないという話である。もうひとつおもしろかったのはノーベル賞をとったミリカンの実験。彼は電気素を発見した実験データー170のうち自分の仮説にのらない112のデーターは無視したそうだ。112は実験が上手くいかなかったから間違ったデーターとなったと決めたのである。もちろんそれは誰にもわからないことだが結果はその通りだった。
どちらの例も論理性のない判断が道を開くといことを示唆していておもしろい。それも科学の分野でである。科学にしてこれなのだから、そうじゃない分野では言うまでも無い。