アンチモダニストコルビュジエ
アレグサンダー・ツォニスの『ル・コルビュジエ機械とメタファの詩学』の残りを読みアンドレ・ヴォジャンスキーの『コルビュジエの手』白井秀和訳 中央公論美術出版2007を読んだ。あらためてコルビュジエが意識的に荒々しいコンクリートを打とうとしていたことを知る。荒々しいコンクリートはご存知の通り1954年にイギリスでブルータリズムと命名されるのだが、この命名はモダニズムで忘れ去られた質料性を浮上させた数少ない言葉として重要である。一方当の本人であるコルビュジエはこの荒々しいコンクリートを「しわ」とか「出産斑」という言葉で形容していたそうだ。建築の外皮を人間の外皮になぞらえたのは、僕が坂本一成の水無瀬の町屋のコンクリートを皮膚の病と言ったのが最初かと思っていたがコルビュジエに先を越されていた。それにしても、どちらの本にもこれでもかと言うほどコルビュジエのアンチモダニズム的な側面が描かれている。そりゃ今の時代に出す本だから勢いそうなるのだろうけれど。