環世界
ユクスキュル著『生物から見た世界』岩波文庫2005を読み始めた。客観的科学的な対象としての身の回りを環境と呼び、主観的な身の回りを還世界と呼びその差を重要視しながら生き物の世界像を探るという本である。動物が行動を起すための要素は自然に組み込まれている反応の因果関係によるのであり、実体の把握から目的に対する効率的な行動の選択によるものではない。つまりはそれぞれの個に組み込まれた身の回りからの状況選択の篩がその個の行動を決定していくという事実が述べられている。それはある意味種によって身の回りが異なることになりそれをユクスキュルは環世界と述べようとしている(未だ読みはじめなので誤読かもしれないが)。
この話を人間に敷衍すれば民族によってあるいは人種によって、環世界は異なる。それは生物学的差異が環世界の差を生みだしているとも言えるが、それ以上に文化的な差が環世界の差を生み出していると思われる。