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最近の3冊

4月9日
3月に行われた信州大学の卒業式で学長がソローの『森の生活』の話をしていたそうだ。そんなわけで岩波文庫になっているこの本を読んでみた。ウォールデン湖畔に住み、人里はなれ、本当に自分にとって価値あると思われることを考え行動しながら生きていく話である。こうした生活は誰しも憧れるものだ。しかしあまりにも美談である。この手の気分は若いころから年に一回は頭をもたげるものだ。しかし知らぬ間に消えていく。どうしたってそこには踏み込めない現実というものがある。しかしそう括ってしまうとこの話から何も得られない。そこでこの話を少し別の角度から考えると「何が楽しくて生きているのか」ということが問われていることに気付く。もう少し具体的に発展させれば、何を報酬に生きることが幸せなのかというような問題であろう。というような話を先日友人にしたら「それは人の評価でしょう。評価されずに生きていくことができる人はよほど強靭な精神の持ち主だ」と言っていたが僕も少なからず同感である。
伊藤真『会社コンプライアンス』講談社現代新書2007が九段下の本屋に平積みになっていたので読んでみた。昨今はやりのこの言葉だが、内容としては新聞記事を上回る新鮮な話題は少ない。ただコンプライアンスの先にあるものは「他者への共感を忘れずにひとりひとりが主体的に生きること」という言葉は妙に納得してしまった。ルールを守るということは人と生きるということなのだと思う。長野駅前平安堂で先日目に留まっていた今村仁司+今村真介『儀礼のオントロギー』講談社2007が日曜日の毎日の書評に載っていた。評者は藤森照信だったような気がする。そこで今日平安堂を通ったので買ってティールームでぺらぺらめくる。儀礼は人間社会に既に存在するもの、構造的に不可欠なものとして儀礼を軸にした政治論を展開している。面白そうである。

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